最近の主な研究成果 |
- Siチャネル中にPドナーが多数存在する状態でも、チャネル形状を最適化すれば、1個のP原子が電子に対する量子ドットとして働いてこれを介した単電子トンネル電流が観測されます。すなわち、ゲート電圧をプラス方向に掃引していくと、チャネル電流が流れ始める前に孤立したいくつかのドレイン電流ピークが観測され、これが、単一のドナー原子を介したトンネル電流と解釈されることを発見しました。これは、ドーパントが多数存在する状態でも、ゲート電圧の領域を選べば「原子トンネルデバイス特性」が得られることを示すものです(Phys.
Rev. Lett. (2010))。
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| 図:単一ドナーポテンシャルを介した単電子トンネル電流 |
- チャネル中の2個のドナー原子の間でゲート電圧に依存して電子が行き来すること、またそれに伴うドレイン電流・ゲート電圧特性のヒステリシスを観測しました。これは、ドナー原子1個をメモリノードとして用いた「原子メモリ」の原理実証となるものです(Appi.
Phys. Lett. (2010))。
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| 図:チャネル内の2個のドナー原子間の電子移動 |
- チャネル中のドットの配置や数に揺らぎがあっても単電子転送機能が保持されることを明らかにしました。すなわち、単電子ターンスタイルと呼ばれる転送機能は、本来3ドット系で提案されたものであったが、ドット配置や数に揺らぎがあっても、単電子転送機能があることwp、シミュレーションで見出しました(J.
Appi. Phys. (2010), Jpn. J. Appl. Phys. (2009))。また、これに先立って、実験でドナーポテンシャルを用いて、ランダム系での単電子転送機能を実証しました(Phys.
Rev. B (2007))。これはナノ領域の自然揺らぎとの調和をもたらす考え方です。さらに、Siチャネル中のPドナー原子3個が立ち上がり特性を決めているデバイスを選別し、すなわち、理想3ドット系と思われるドナーポテンシャル系で単電子転送機能を実証しました(Appl.
Phys. Express (2009))。
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| 図:ドナー原子を利用した単電子転送特性 |
- フォトン1個をSi多重ドット型SOIMO SFETでフォトンによって誘起された電荷のトラップ効果により無増倍検出できることを実証しました(Phys.
Rev. B (2006))。さらに最近、Pドナーを多数チャネル内に配置したデバイスで同一の原理によってフォトンが検出できることを発見しました(Phys.
Status Solodi A (2011))。この論文の図は、ppsA出版号のカバーデザインに採用されました。
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- 極低温KFMというデバイス表面の電位形状分布の観察法を立ち上げ、チャネル内のPおよびBの原子レベルの電位分布検出に成功しました。今後ドーパント原子デバイス開発にとって大変重要なツールとなるものです(Appi.
Phys. Lett. (2008), Thin Solid Films (2010))。
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| 図:Si中のボロンイオンのポテンシャル分布 |