「ナノビジョンサイエンス」は従来の画像技術を根本から変革する新学術・技術分野をナノテクノロジーを駆使して創出することです。そのためには画像に関する種々の要素技術の革新とその基本となる科学との融合、また最新画像技術を利用するユーザとの連携が不可欠です。当研究所の研究者と共同研究を行い、設備等を積極的に共同利用して頂く、公募型の共同利用・共同研究プロジェクトを2008年から開始し、数多くの応募を頂き、多くの成果を上げています。この成果が認められ、2013年4月共同利用・共同研究拠点「イメージングデバイス研究拠点」に認定されました。また、同年、光の最先端研究を追求する“光の尖端都市HAMAMATSU”実現を目指し、静岡大学、浜松医科大学、光産業創成大学院大学、浜松ホトニクス(株)が「浜松光宣言2013」を調印しました。この年、この調印の下に提案した、「地域資源等を活用した産学連携による国際科学イノベーション拠点整備事業」が、この事業を基盤にした「革新的イノベーション創出プログラムCOI-S(サテライト)」が当研究所を中心に実施され、最終評価として「S」評価を得ております。
「ナノビジョンサイエンス」の有力な応用範囲は、医療分野です。2016年4月には、医歯工の学際領域の研究を強力に推進することを目的とした、東京医科歯科大学、東京工業大学、広島大学と連携したネットワーク型共同利用・共同研究拠点である「生体医歯工学共同研究拠点」に認定されました。そして、今年度2021年度で、第一期が終了し、最高の評価である「S」評価に判定され、今年度より第二期をスタートさせています。また、「浜松光宣言2013」の下、「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム(“光の尖端都市「浜松」が創成するメディカルフォトニクスの新技術”)」にも同年採択されました。本事業は昨年3月に終了しましたが、「A」評価を得ております。このように、当研究所は「画像科学技術」の拠点としての地位を着々と築いております。
国際交流は「知」の拠点である研究所にとって極めて重要です。当研究所で得られた成果をいち早く世界に向け発信するとともに、多くの国際研究機関との共同研究も必要です。研究所には外国人客員教授部門があり、これまでに多くの国から客員教授を迎え、多大な成果をあげています。また、毎年数多くの外国人研究者を招へいし、共同研究を行っています。今後とも研究活動を通じて、国際交流を発展させて参ります。
浜松の地はベンチャー企業発祥の街としても有名であり、当研究所もそれらに貢献してきた伝統があります。現在、研究所の所員が関わっている静大発ベンチャーは4件あり、これまでにM&A等の実績もあり、大学発技術の社会実装と雇用創出に努力しています(静大発ベンチャーの総計は37社、雇用数は約700名)。「浜松光宣言2013」の下、地域から全国へ、全国から全世界へ、産官学の強力な連携体制を築き、「画像科学技術」関連の「知の拠点」を構築すべく一層努力する所存です。